不動産信託

◆1.不動産信託
不動産の証券化ではオリジネーターが信託銀行に不動産信託します。不動産信託には賃貸型と処分型という2通りの信託がありますが、要は一定の期間後にオリジネーターに不動産の所有権が戻る賃貸型(主に建物の賃貸事業を行う)と、第三者に分譲・処分・売却することを目的に信託される処分型に分けられるだけです。この時、信託銀行が賃貸型・処分型を問わず、不動産信託の枠を設定すれば、それを不動産ファンドと呼べることになります。

不動産信託を利用したファンドでは通常の不動産売買でかかる不動産流通税(不動産取得税や登録免許税)に比べ格安で実質的な不動産の譲渡が可能です。信託登記は価格の1000分の6で済んでしまいます。信託銀行は不動産信託を受託すると、その不動産について信託受益権(受益証券)を委託者やオリジネーターに発行します。証券化のところでもお話したように、この信託受益権をSPCに売却したり、そのまま投資家に売却することによって投資家から資金を調達します。また、SPT(特定目的信託)も可能になったのは前述した通りです。

信託銀行にとって、不動産信託により信託報酬を得られることになります。現在、報酬額については一定の雛形はない状態で、証券化などでは内外の信託銀行が受託合戦を繰り広げています。また、一部の信託銀行では投資顧問部などで、①大手年金基金などの大口投資家から運用委託を受けて複数の不動産物件に投資するもの、②中小基金や小口投資家の資金を集めて合同運用する合同ファンドーを運営しています。

この時、投資先に対してアドバイスを行う「助言業務」のほかに、投資家の一任を受けて信託銀行の裁量で投資先を選択する「一任業務」を行っています。現行ではこの「一任業務」の扱い高をもって不動産ファンドと呼ぶこともできます。なお、不動産信託は不動産の価格を簿価で信託できます。そのため、含み損を多く抱えている不動産の場合は時価会計や投資家保護の観点からは問題が多く、一部では「飛ばし」に利用されているとの批判があるのも事実です。一方で、2000年11月に施行された改正「投信法」では、新たに「信託型」と呼ばれる不動産ファンドの組成が可能になりました。

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